まずは何もない時代が「ありました」。
あたしらの住まう世界すら無い。こう話しているのが、本当なのかどうかすら怪しい時代。だって見た人がいないんですから。
それだけじゃあありません。風は無論の事、天空も無かったし、大地や水、暗黒だってすらまだない。ただただ混沌だけが「そこ」にはあって、だから今でも混沌の事を「闇に先んずる」ということで「先闇」と呼びます。
そうして大女神グローランサが生まれました。
グローランサはすべての、みんなの母親で、偉大な力(安定と変化、愛と不和、真実と幻影、調和と無秩序)とエレメント(暗黒の貴婦人、海の卿、大地の女帝、光の王)を産みました。
エレメントは、……世界は最初は闇に覆われていて、闇しかなかったのですが、その闇の中から暗黒のスティクス川が流れ出てきて、そうしてスティクス川の行き着く先に原初の海が湛えられました。今度は海から大地が浮上し、大地の上には天空が生まれ、世界がその形を一応ながら取ったのです。
世界に、女神グローランサに栄えあれ。